
中国コンテンツ市場が一望出来る
最近中国関係の話を聞く機会が多いせいもあって、なかなか興味深く読めた。また、この種の本は編集がしっかりしていないと断片的な寄せ集め情報に終始してしまうが、この本の場合現状の中国のメディア・コンテンツの状況をうまく浮かび上がらせており、全体の把握がしっかりできる出来る内容になっている。
アニメに関する興味でいえば、特に現在上海でCGアニメビジネス制作を手がけている濱田功氏の第一章「栄光の復活に賭けるアニメーション産業」がその実体を鋭く捉えていて秀逸である。また、日本の版権元が中国で商標登録をしようとしたら現地企業が先に申請しており、本家が違法になったことが事件になった『クレヨンしんちゃん』の中国展開の実情がわかる第五章の「『クレヨンしんちゃん』の冒険」も興味深く読めた(執筆は『クレヨンしんちゃん』の版権管理を担当している双葉社の中野正史氏)。放送や音楽に関する事情にも詳しく、中国の市場に興味のある人間にはお勧めの一冊だ。