
濃い内容にびっくり
63ページという短かさに、期待することなく読み始めたのだが、ブレア政権下の学校教育の現状が的確に描かれていて感動した。というのも、日本人の著者によるイギリスの教育についての書物は教育学者が書くものを含めて、いまだにサッチャー政権下の認識で語られているものが目につくからである。もはや、サッチャー政権下の教育をめぐる状況とは大きく転換していることを本書は描き出している。著者がジャーナリストであり、在英であるということがそうした流れを敏感に感じ取り、表現可能にしていると思われる。
本書は2007年に発行され、すでに3年がたっている。その後ブラウン政権を経て、今年は労働党政権から保守・自民の連合政権へと交代した。本書が描かれてからさらにイギリスの教育界は大きく変化していると思われ、著者の次作にも期待したい。
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